タロットカード No.14-ArtとTemperanceの解釈


ボイジャータロットの大アルカナNo.14は「Art-アート(芸術)」
ウェイト版タロットの大アルカナNo.14は「Temperance-節制」 です。
タイトルが異なり、若干意味合いは異なってきますが、共通している解釈もあります。今回は、この14番を深堀してみます。カードリーディングの参考にしていただけると嬉しいです。

Voyager Tarot No.14-Art

ボイジャータロットの14番は「Art」
11番から16番までが「変容期」のカードであり、この14番では「再統合」という意味合いがあります。
基本的なアーキタイプである1番から9番のうち、すでに
「6番ーLovers-恋人たち」
で統合意識を身に着けました。
なので、この14番から15番にかけて、もう一度統合へのステップーということで「再統合」です。

Voyager Tarot No.6-Lovers

(ちなみに、”Lovers”というタイトルから、恋人という恋愛関係のカードという意味合いが重視されますが、恋愛以外でも「相反するものの統合(意識)」ということが大きなテーマになっています)

 
「Art」のカードでは、そのままの「アート」という意味合いー時代の最先端、という芸術性について触れていることもあります。射手座に対応しているカードでもあるので、先を見て、さらなる深みを目指しーといった、哲学的思想も反映されてくる、なかなか奥行きの深いカードです。


お題によって、さまざまに読み取れるのですが、ベースとなることは「錬金術ーアルケミー」です。

錬金術は、最も狭義には化学的手段を用いて非金属から貴金属(特に金)を精錬しようとする試みのこと。広義では、金属に限らず様々な物質や人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みを指す。

Wikipedia「錬金術」より抜粋

 
本来の化学変化の錬金術は、貴重な「金」を、「水銀 / 硫黄 / 塩」といった基本の(言ってみれば”普通の”)成分から生成、ということから始まっていますが、発展して『すでにあることから、化学変化(変容)を起こす』ということのたとえで使われる言葉です。つまり、Artのカードのベースにあるのは「何も新しいことは足さない」ということが、非常に重要なポイントでしょう。

 
私たちは、何かを手に入れようと、達成したいと「前進」「頑張る」「努力」をしているのですが、「得る」のではなく、もう「すでにある」⇒「どうアルケミーを起こすのか」ということに視点が置かれています。

 
大きな炉が描かれ、この中に自分の持っていることをぜーーんぶ入れ込んで、グツグツ煮たら?
今までとは違う、あたらしい何かが生まれてくるーそんな意味が込められています。
「色即是空ー空即是色」の「空即是色」の世界観そのものー何を今度は作り出しますか?/ あなた次第です、ということですが。では現状にあてはめてみると…これは非常に難しいことかもしれません。


〇〇が足りないよ、だからがんばらないとーとなれば、そうか、足らなかったのか!、とある意味合点がいくものですが、今の状態を「変えたい」と思っているのに、足りないものはないし、作り変えるだけよ、すでにあなたは持っている…と言われてもーどうしたら良いのでしょう??
 
 
 

Tarot No.14-TEMPERANCE.

続いて
ウェイト版タロットの大アルカナ14番は「Temperance-節制」です。
大天使ミカエルさま(とする説が有力)が、カップからカップへ水を流しいれているーここでは、四大元素と言われる「火・地・風・水」の4つのエレメントを、ちゃんと自分で取り扱えるようになりました、という意味があります。
成長した、穏やかなカードともいえるのですが、だったら「創造」とか「平常心」といったカード名でもよさそうですが、タイトルは
「節制」ー程よく、控えめに、という言葉がついています。

ウェイト版タロットでも、11番から16番までは「変容期」のカードですから、変容の一端としてのカードとなり、「自分で作り出せる力はあるけれど、ほどほどにね」という、人間の本能ー欲に任せて、という状態ではない、ことが告げられています。

これは、ボイジャータロットの「Art」ーアルケミーに相通ずることがあるように思えますね。
何かを得ようと、手を広げるのではなく、ちゃんとすでにあなたには必要なことが揃っているのだから、適切に作り変えて節制していきましょう、というところでしょうか?


タロットカードは「魂の成長」「心の成長」の物語的にカードが進んでいきますので、No.14の前後のカードを見ていくと、より理解が深まってきます。  

 
 

Voyager Tarot No.13-Death

では
14番の一つ前、13番のカードは
どちらも「Death」ー死のカード
なかなか絵柄が強烈であったり、言葉からの印象でびっくりされがちですが、ここでは生死を意味するのではなく、要は「断捨離」といったような、「使っていないものは捨てる」ー「あなたにとって、本当に大切なことは?」を問いかけている段階です。半分強制的、とも言えますが、16番のTower-塔、よりは穏やかな時間の流れと言えるでしょう。

Tarot No.13-DEATH.

 
13番でいったんリセットがかかり、不要なことは削除し、自分を再確認できたーそこで14番のArt/Temperanceでは、次には何を生み出していこうかー創り出そうか、という段階になりました。
 

Voyager Tarot No.15-Devil’s Play

はい、そこで再びおなじみの宇宙からのダメ出し(というか、再確認)「本当に、それでいいんですかね??」
そんな「悪魔のささやき」が15番です。ウェイト版タロットの方が分かりやすいかもしれません。
悪魔の誘惑に勝てますか~♪
な雰囲気が全開です。
ちなみにボイジャータロットは「Devil’s Play」-悪魔の遊び、というタイトルですので、若干意味合いは異なります。

Tarot No.15-THE DEVIL.

これは「再統合」とも言えますし、最強の「KY」とも言えますし、なんともカオスな世界観・・・ここでは一気に「規則」とか「手順」「羽目」などを全部はずしてしまえっっ!という、悪魔も仰天(!)するような、それがどうした!!、なカードです。

14番のArtで作り上げた自分の世界観、新しい自分ーそのための制限はないよ、という、またウェイト版タロットのTHE DEVIL.とは一味違った「揺れ」を私たちに起こしています。
 


 

13番=削ぎ落しては ⇒ 14番=創り上げ ⇒ はたまた15番=「ねぇそれでいいんですかねぇ」とささやかれー「そう、これでいいのよっ」と意気込むと ⇒⇒ 15番の先の16番=Tower-塔-では、一気に根こそぎ破壊。。 

まるで人生はジェットコースター、自分の周りではいろいろなことが展開されるのも納得できる一面ですね。 
 
 
 

「何も新しいことを足さずとも、あなたはすでに全てを手にしている」
そういった世界観が14番のカードたちには描かれています。


今回は、タロットカードの流れと共に「変容」の一端としての解釈を書いてきましたが、この「錬金術」という化学変化は、いつでも起こっているものです。
「起こせる」という、自分の意志を以ってということもありますが、将来的には「自然と起こる」、へと成長していくことがベストでは…ないでしょうか?


そのためには、スピリチュアル界でよく出てくる言葉「覚醒」ーこの「覚醒」という状態へと意識を拡大させることです。すると、何が起こるのかーもともと私たち全員がすでに持っている「ワンネス」という一(いち)の世界から、今必要な情報やエネルギーとのアルケミーが起きるからです。

 
すべて持っている / すべて知っている、と言われても・・
当然私たちの顕在意識では「忘れて」いるのが普通です。ですが、意識を第4密度(第5次元)へと拡大させることで、「必要なアルケミー」が自然と起こります。
※ここでも、なんでも手に入れられる!!という欲が先行するのではなく、「Temperance」のように自然と節制が働いているようです 

 

タロットカードを紐解くと、人生、魂の成長がよくわかると共に、自分の目指している方向性の再確認にもなりますね。
あなたは、今どんな錬金術を使い、何を生み出しているでしょうか?